2018.12.04

純バイオジェット燃料の製品化でNEDO事業実施者が燃料製造事業者と連携(産業技術総合開発機構)

NEDO事業5者と昭和シェル石油(株)の連携体制図

~バイオジェット燃料の2030年頃商用化に向け大きく前進~

NEDO事業で純バイオジェット燃料製造の技術開発を進めている三菱日立パワーシステムズ(株)、中部電力(株)、東洋エンジニアリング(株)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)および(株)IHIは、2030年頃のバイオジェット燃料商用化の実現に向けて、純バイオジェット燃料をバイオジェット燃料として最終製品にするために、昭和シェル石油(株)との連携を開始しました。

NEDOはこれまで、純バイオジェット燃料の製造技術開発を進めてきましたが、NEDO事業実施者がその最終製品化を燃料製造事業者である昭和シェル石油(株)と連携することで、バイオジェット燃料の商用化に向けて大きく前進することになります。

<概要>

世界の航空輸送部門では、地球温暖化問題などを踏まえ石油に代わる新しい燃料として、バイオジェット燃料の実用化に期待が集まっています。今後、製造技術などの課題が克服されれば、バイオジェット燃料の市場規模が拡大することが予測できます。しかし、現状では、まだ実用化に至るまでの課題も多く、CO2排出削減効果などが期待できるバイオジェット燃料の製造技術の開発が必須となっています。

そこで、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、次の二つのテーマで、バイオマスから純バイオジェット燃料※1生産までの安定的な一貫製造技術開発を行っています。一つ目のテーマは、微細藻類由来による技術開発で、現在タイで大規模な培養池を設置し、高速で増殖する微細藻類が生成する藻油からの燃料製造プロセスの技術開発が進んでいます。また、二つ目のテーマは、セルロース系バイオマスを原料とする技術開発で、本年内に国内でガス化・液化技術(Biomass to Liquid)を用いた実証設備の建設を開始します。両テーマとも、2019年度には純バイオジェット燃料の製造を開始する予定です。

純バイオジェット燃料を航空機に搭載するためには、国際品質規格(ASTM International)※2などに適合することが必須です。まず純バイオジェット燃料の品質が規格(ASTM D7566)に適合していることを検証し、さらに同規格に従って従来の燃料である石油系ジェット燃料と混合した後、改めて従来燃料の規格(ASTM D1655)との適合性を検証して、初めて搭載可能なバイオジェット燃料となります。

このNEDO事業では、パイロットプラントの実証運転などの成果を通じて、規格(ASTM D7566)に適合する純バイオジェット燃料を安定的に生産するための技術開発を進めていますが、バイオジェット燃料の製品化のためには、さまざまな課題の抽出とその解決が必要です。具体的には、純バイオジェット燃料と従来燃料の混合のための設備の仕様とその運転方法、混合した後の品質検査体制、出荷体制などを実現しなくてはなりません。

そこで、NEDO事業実施者である、三菱日立パワーシステムズ株式会社、中部電力株式会社、東洋エンジニアリング株式会社、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)および株式会社IHIは、航空燃料生産の実績を持つ燃料製造事業者である昭和シェル石油株式会社と連携して製品化に取り組むこととなりました。NEDOはこれまで、純バイオジェット燃料の製造技術開発を進めてきましたが、NEDO事業実施者が昭和シェル石油(株)と連携することで、2030年頃のバイオジェット燃料商用化に向けて大きく前進することになります。

<注釈>

※1 純バイオジェット燃料

NEATバイオジェット燃料とも呼ばれます。国際品質規格※3に準拠した、バイオマス由来の燃料で航空機に搭載するためには、従来燃料と混合する必要があります。

※2 国際品質規格(ASTM International)

ASTMは、世界最大規模の標準化団体である米国試験材料協会(American Society for Testing and Materials: ASTM、現 在はASTM International)が策定する規格です。ASTMは世界最大級の民間規格制定機関(非営利団体)で、約130分野(プラスチック、金属、塗料、繊維、石油、建設、エネルギー、環境、消費財、医療サービス・機器、コンピュータシステム、電子機器など)の標準試験方法、仕様、作業方法、ガイド、分類、用語集を作成し、出版しています。(出典:独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ))ここでは、従来燃料の規格はASTM D1655、従来燃料に混合可能な純バイオジェット燃料の規格はASTM D7566です。