2018.11.13

世界初、高輝度青色半導体レーザー搭載複合加工機を開発、製品化へ(産業技術総合開発機構)

複合加工機の写真

航空・宇宙・電気自動車などの産業向け部品加工への応用に期待

NEDOプロジェクトにおいて、大阪大学、ヤマザキマザック(株)、(株)島津製作所は、高輝度青色半導体レーザーを活用した金属積層技術と、切削技術を融合したハイブリッド複合加工機を世界で初めて開発しました。今後、ヤマザキマザック(株)は、生産ライン整備などを経て、2019年の製品化を目指します。

このハイブリッド複合加工機は、従来の近赤外線レーザー搭載複合加工機では加工が困難であった純銅などの難加工材料について、高効率で高品質な溶接や積層が可能です。これにより、純銅と他の金属材料との異種材料接合も可能で、航空・宇宙・電気自動車などの産業で必要とされるエンジン周辺の高放熱部材などの加工に活用することが期待できます。

ヤマザキマザック(株)は、本ハイブリッド複合加工機について、2018年11月1日から6日まで東京ビッグサイト(東京国際展示場)で開催される第29回日本国際工作機械見本市「JIMTOF2018」で実機によるデモンストレーションを行います。

1.概要

青色半導体レーザー※1は、金属に対する吸収効率が高く、従来の近赤外線レーザーでは困難だった金や銅などの加工に適しているため、金属向け次世代加工機の光源への応用が期待されています。特に、銅素材の加工については、銅が高い放熱性を持つことから、航空・宇宙・電気自動車などの多くの産業から実現が期待されています。しかし、これまで青色半導体レーザーは、高輝度化などが課題で、複合加工機※2への搭載は元より、レーザー加工機への搭載も進んでいませんでした。

そこで、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクト※3において、国立大学法人大阪大学接合科学研究所の塚本雅裕教授らの研究グループ、ヤマザキマザック株式会社、株式会社島津製作所は、日亜化学工業株式会社と株式会社村谷機械製作所の技術協力を受け、世界で初めて、高輝度青色半導体レーザーを搭載したハイブリッド複合加工機を開発しました。今後、ヤマザキマザック(株)は、本複合加工機の生産ライン整備などを経て、2019年の製品化を目指します。

このハイブリッド複合加工機には、NEDOプロジェクトの成果をもとに(株)島津製作所が2018年1月に製品化した出力100Wの高輝度青色半導体レーザー光源※4を組み込んだマルチビーム加工ヘッド※5を搭載しています。3台の高輝度青色半導体レーザー光源それぞれから出力されるビームをマルチビーム加工ヘッド技術で重畳することによって、集光位置での出力300Wを実現しました。これは、純銅粉末を溶融させるのに十分なパワー密度であり、高効率で高品質な純銅の溶接・積層が可能となります。また、このハイブリッド複合加工機は、切削5軸加工とレーザー加工を合わせて行うことが可能です。純銅と他の金属材料の異種材料接合も容易であり、切削加工との工程集約が可能となることから、純銅表面をコーティングして放熱性を向上させた高放熱部材など、航空・宇宙・電気自動車に必要なエンジン周辺などの部品加工への応用が期待されます。

なお、本ハイブリッド複合加工機については、2018年11月1日(木)から6日(火)まで東京ビッグサイト(東京国際展示場)で開催される第29回日本国際工作機械見本市「JIMTOF2018」でヤマザキマザック(株)が公開し、実機によるデモンストレーションを行います。

2.注釈

※1 青色半導体レーザー

波長400nm~460nmの範囲の青色光を発振する半導体レーザー。

※2 複合加工機

切削や溶接などの複数工程を1台でこなすことができる工作機械。

※3 NEDOプロジェクト

高輝度・高効率次世代レーザー技術開発/次世代レーザー及び加工の共通基盤技術開発/レーザー加工プラットフォームの構築/高輝度青色半導体レーザー及び加工技術の開発 (2016年度~2020年度)

※4 高輝度青色半導体レーザー光源

コア径100μmの光ファイバーに青色半導体レーザーデバイスからの出力光を空間・偏光結合することによって高輝度化を実現した光源。世界最高クラスの高出力・高輝度青色半導体レーザーを製品化へ

※5 マルチビーム加工ヘッド

内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)革新的設計生産技術「高付加価値設計・製造を実現するレーザーコーティング技術の研究開発(2014年度~2018年度)」で開発・製品化(2016年)されたLMD(Laser Metal Deposition)方式の加工ヘッド。金属粉末をレーザーの照射領域へ供給することで金属粉末は加熱、溶融、凝固される。LMDの従来方法が1本のレーザービームを使用し、集光位置に複数の粉末ビームによって金属粉末を供給するのに対し、マルチビーム加工ヘッド方式は、一本の粉末ビームに対し、周辺から複数のレーザービームを照射することで、効率的に金属粉末を加熱、溶融、凝固させることを可能とする。2016年にマルチビーム加工ヘッドが製品化された時に搭載されたレーザーは、近赤外線レーザーである。